es [映画関連]
ドイツで行われた心理学実験を下敷きにした映画。
被験者を看守と囚人に分け、2週間監獄ごっこをするが、状況が心理に及ぼす影響は予想以上で、実験はほんの数日で悲惨な結末を迎えるというもの。
実話を下敷きにしているのは実験の設定部分のみで、そこで起こった事件はフィクション。
なお、この実験は被験者に与えるプレッシャーが大きいため現在では禁止されている場所も多いとのこと。
筋書きは見えているものの、なかなか楽しめる作品だった。
牢獄に入れられ、自由と権利を奪われた囚人よりも、むしろ看守側の方がおかしくなる。常識や平常心、良心などというものは、虐げられることよりも力を与えられることに対して脆いらしい。力という魅惑的な幻想の前にはルールさえも無力。看守たちの暴走こそが実験を失敗に導く。
また、このように権力に惑わされた看守たちはさらに自分たちより上の存在として実験の中心人物、教授を必要以上に尊重しはじめるところも興味深い。助手たちの言うことは聞かなくなり、二言目には「教授」。自ら作り上げた権力構造にまた自らも組み込まれていくことに安堵を感じているよう。
映画としては囚人側の人物設定が弱く、観客の胸に迫るという点では今ひとつ。
しかしこういう映画をエンターテインメントとして楽しむ心理というのはどういうものだろうかと少し考えた。
2005-05-09 14:08
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