オーシャンズ12 [映画関連]
2004年 スティーブン・ソダーバーグ監督
「トラフィック」をこよなく愛する私にとって、スティーブン・ソダーバーグは大好きな監督の一人だ。
本作は同監督の「オーシャンズ11」の続編。「オーシャンズ11」は「オーシャンと11人の仲間」のリメイクであるが、私が見たことがあるのは、ソダーバーグの「オーシャンズ11」の方だけである。とても面白い作品だが、テーマにやや食い足りない所もあるというのが正直な感想。さて本作はどうかというと、これが「オーシャンズ11」とは趣の違う作品だった。
「オーシャンズ12」は、コメディである。「オーシャンズ11」はお洒落なクライム・ムービーという風情だが、本作はそうではないのだ。
あらすじはかなりどうでもいい感じで、肝心の盗みのトリックが明かされるシーンにもカタルシスはあまりない。(カット割りに違和感があって、ここになにかあるなというのはわかるようになっているのだが)。 その代わりに随所にバカバカしいお笑いが織り込まれていて、これが結構笑える。映画を知っていると余計に面白い。「ロスト・イン・トランスレーション」からの引用はあるし、ブルース・ウィリスに向かって「レストランのシーンで...」とさかんに主張する男が出てくるがあれは「シックス・センス」のことだ。ヴァンサン・カッセルのレーザーダンスは完全に「エントラップメント」を意識したものだろう。極め付けがテスのセルフ・パロディ。これを観たときにあぁこの映画は完全にコメディなのだなとわかる。
キャスト皆は楽しそうに演じていて、マット・デイモンがとくに面白がっているのがわかる。アメリカの業界人はジョージ・クルーニーが大好きだとか。やはり格好いいなぁ。ブラッド・ピットもいいし、キャサリン・ゼタ・ジョーンズもステキ。シンプルなファッションがああもセクシーでお洒落に見えるのは本人のセンスがいいからだ。そして、私はもともとヴァンサン・カッセルのファンなのだが、今回の彼はとてもいい!アホ役をするのが楽しくて仕方がないという様子。シリアスなヴァンサンもいいが、アホなヴァンサンもすごくいい。
映像と音楽がスタイリッシュなことはソダーバーグなのだから当たり前。ストリートのにおいがしないスタイリッシュ。いいなぁ。しかしそれにしてもこの監督の省略の具合や見せ方が本当に好きだ。面倒くさいシチュエーションも平気でさらっと通過させてしまう。とくに今回はコメディなので、"あと〇日"の字体に凝ってみたり、BGMでも好きなように遊んでいるのがわかって観ていて楽しい。
しかし正直、豪華キャストでスタイリッシュであるという以外は完全に遊びの映画。次回は「トラフィック」のように骨太なテーマで見ごたえのある作品を作ってほしいと思う。
ソダーバーグは僕も大好きな監督の1人です。
「オーシャンズ12」は断るに断れなくて、じゃあやるなら遊ばせてもらうか
って感じの作りが最高にイケてますね。
前作に比べるとタダのヘタレ映画なのに(笑)。
「骨太な映画を作って欲しい」はまったく同感です。
by ken (2006-05-15 16:48)
そうなんですよ。なんつうかヘタレ映画で。でも映画って娯楽だからそれでいいのかもしれないんですけど、やっぱりソダーバーグには「あんたそんなもんじゃないだろ!」と言いたくなってしまうというか。
でも「オーシャンズ12」はDVDでリピート鑑賞することになると思います。私の好きな格好良さの要素がいっぱいなので....肩こらないし。
by satoco (2006-05-17 16:07)