マルチュク青春通り

2003年　ユ・ハ監督

クォン・サンウの学生服姿が観たくて、観てみた作品。
1978年を舞台に、クォン・サンウを中心とした男子高校生数人の青春を描いたユ・ハの自伝的青春映画。少年達はそれぞれに個性的で生き生きしており、学生生活、淡い恋、日常の中に起こる事件など青春映画らしい内容が描かれる。

10代後半の男の子たちにとって暴力がコミュニケーションの手段であるということは良くわかる。少し｢パッチギ！｣を思い出したりして。｢パッチギ！｣よりは大分遊びがなくてシャレにならない感じではあるのだが。暴力の過激さは北野映画並みだが、おとなしい主人公がついにキレて屋上で暴れまくるシーンにはカタルシスがある。

クォン・サンウは相変わらずの格好良さ。しかしケンカ番長でプレイボーイのウシクを演じたイ・ジョンジンが格好良くて印象的。二人の間で揺れる少女役のハン・ガインもキレイでよかった。

当時のソウルの状況を知らないと、主人公の心情に共感するのは少し難しい。学校で日常的に行われる暴力が半端ではないし、軍人が騒ぎを起こした生徒を殴りながら｢オレがベトナム戦争で何人殺したと思ってんだ！｣なんて叫ぶシーンは、日本人には馴染みのない光景。そういう背景に関する知識が乏しいため、この映画をちゃんと楽しめなかった気がする。それでもなんだか印象に残るところがある映画だった。