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ダイアログ・イン・ザ・ダーク2007東京 [雑感]

久々の映画でない話。
数ヶ月に一度、連れ合いと子供に留守番してもらって友人と遊びに行く。今回はダイアログ・イン・ザ・ダーク2007に参加してきた。

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは:
http://www.dialoginthedark.com/

完璧な闇の中で様々な日常的な体験をするという体験型ワークショップ。参加者は8人のユニットで視覚障がい者の方1名が案内役となり、互いにコミュニケーションしながら闇の中を進んでいくというもの。世界数各国で開催されている。
今回のテーマは「学校の放課後」ということで、赤坂にある今は使われていない小学校の校舎が舞台となった。

私はもともとこういう参加型のワークショップは好きなのだが、今回はとくに楽しみだった。
まずハイヒール不可、万一汚れてもいい格好で参加、落し物は拾えないので落としそうなものは持ち込まない、携帯電話・時計も持ち込まない、というあたりが、なんだかすごくそそられてしまう。
ちなみに中は本当に真っ暗闇なので眼鏡も持ち込まない。持ち込む意味ナシなのである。

さて実際の体験は。

まず会場では一緒に行動する8人で簡単に自己紹介して挨拶する。そして暗闇に入った後はお互いに声を掛け合ったりして先へ進んでいく。通常だったらこういったイベントがあってもそんなにすぐには会話しあったりしないところだが、闇の中、しゃべらなければ互いが何をしているのか分からないので会話もすぐに活発になる。

徐々に暗闇に入る。もう本当に何も見えない。ほんの少しの光源もないので、目が慣れるということもない。目を開けていても閉じていても同じ。

案内役の隊長さんが、
「僕の声がする方にきてください」
と言う。無茶な、と思う。とにかく真っ暗だし、手を伸ばしても何にも触れない。声はそんなに近くでするわけではない。恐る恐るすり足で進む。すると他のメンバーから
「あ、○○に触った!」
などと言う声がしてくる。その声で大体の人やものの位置を知り、なんだか安心する。

無茶なと思うのは最初だけで、暗闇で動くことにはどんどん慣れてくる。途中からは杖も使い、地面の感触が変わったらしゃがんで手で触れ、何かを見つけたら声をあげて周囲に知らせたりしながら、体育館、学校の裏山、小川、枯葉のじゅうたん、美術室、音楽室などを冒険する。もちろん全部手探りで。最後は用務員室でお茶をいただく。その頃には見えないということが意識にすら上らなくなる。聴覚や触覚、嗅覚で周囲を知ることがすっかり自然になってしまうのだ。

1時間があっと言う間。隊長の軽妙な語り口とノスタルジー溢れる内容のおかげもあってとても楽しい体験だった。

そしてそれ以上に、考えさせられることもあった。

終了後、目を慣らすために薄暗い部屋でしばし時間を取る。ここで隊長が
「空いているイスありますか?」
と言うと、他の参加者が
「ここあいてます」
と、イスをバンバンたたく。隊長はその音を頼りにイスに座る。私はそれを見ていて、
「ああやってイスの位置を知らせるのだなぁ」
とぼんやり考えていた。
先ほどまでの闇の中ではイスの位置をたたいて知らせるのは当たり前で、みんながそうしてコミュニケーションしていた。それが見える場所に出てくると、なんだかそのやり方にある種の意味づけがされてしまうような。(つまり視覚障がい者の方向けのやり方である、と)。あ、もう見えるんだ。さっきまでの世界とは、コミュニケーションも世界を知ることも、何でもかんでもやり方が違うんだ。と、改めて認識する。
でもカーテンを隔てた隣の部屋に行けば、視覚以外の手段を使うやり方が生きているわけで。
だけどそれは特別な場所ではなくて、外を歩いていても視覚以外の手段を使うやり方で生活を送っている人が沢山いるわけで。
そう思って、そして自分が暗闇の空間と通常の空間でその二つのやり方をあまりに自然に移行していたことに少し驚いた。そして視覚のない世界も、案外そうかけ離れたものでもないかもしれない、と発見した。
うーん長くなった上に上手くかけないのだけれども。

体験を楽しめただけでも十分参加してよかったと思うのだが、ささやかでも発見があり考えさせてくれたことで、本当にとても有意義な体験だったと思う。
何度でも参加したいので、もっともっとこの活動が皆に周知されて盛んになって行って欲しいと思う。

暗闇は、仲間がいれば、怖くないものなのだ。





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コメント 4

ken

つまりsatocoさんは人間の「順応性の高さ」を伝えたかったのですね。
いやいや充分伝わりました。
それよりもこんなワークショップがあることを教えてもらえて感動しました。
satocoさんのブログの読者で良かったと心から思いました。
僕もいつか参加します。これはゼヒ行かねば!
by ken (2007-12-08 22:56) 

satoco

kenさん、嬉しいコメント、ありがとうございます!
順応性って言葉、しっくりきます。

一番伝えたかったのは、こんなイベントがあるよってことですね。ほんとに楽しめますし、案内役さんや他の参加者とのコミュニケーションがほのぼのと心温まり、闇に癒されますよ。不定期ですが毎年開催されているようなので、来年ぜひ!! お友達やご家族と一緒に参加されるとより楽しいです。
by satoco (2007-12-09 23:38) 

u_yasu

こんばんわ、お邪魔します。
コミュニケーションの大切さってのを、改めて考えさせられました。
こういったワークッショップがあったんですね、知りませんでした。
私もいつか参加したいなと思います!
by u_yasu (2007-12-17 00:08) 

satoco

u_yasuさん、ありがとうございます。闇が余計にコミュニケーションをスムーズにしてくれているようでした。
ぜひ参加してみてください。色々読むと、どうやら参加した人みんな、周りに勧めているようです。
nice! ありがとうございます。
by satoco (2007-12-17 00:12) 

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