So-net無料ブログ作成

flowers [映画関連]

2010年 小泉 徳宏 監督

その女優が出演しているだけで、映画の内容にかかわらず見てみようかなと思う女優が少しだけいる。基本的に私は監督で映画を選ぶ傾向があるので、そういう女優は本当に少ししかいない。
だからデビュー以来ずっと作品をチェックしている蒼井優は、私にしては珍しい存在だ。あまり興味の持てない作品もあるけれど、その作品中での蒼井優はどんなだろうかということにだけはいつも興味がある。

で、本作も見てみたというわけである。
蒼井優は今回とびきりチャーミングな花嫁に扮する。たまにはこういうのもいい。出番は少ないけれどいつもながらしっかりとした芝居で強い印象を残す。

資生堂のプロパガンダ映画である。
tsubakiというシャンプーがあって、そのCMは名実ともに充実したビッグな女優が何人も出演する、贅沢なものだ。2010年ごろにそのメンバーだった女優たちが本作にそろい踏み。鈴木京香、広末涼子、竹内結子、仲間由紀恵、田中麗奈、そして蒼井優。それぞれ主役級の女優たちがこれだけそろっているのは、CMで見慣れた光景とはいえさすがに見ごたえがある。しかもそれぞれ、ただきれいな女優ではなくきちんとお芝居をする面々がきっちりそろっているのがいい。

昭和11年から現代まで、4つの時代を舞台にオムニバス風にストーリィが展開する。それぞれの映像をその時代に合わせているのが面白い。昭和11年はモノクロで小津映画風、30年代は「ニッポン無責任時代」で見たようなコントラストが強い画風。50年代はややくすんだ夕暮れ色がベース。もちろんそれぞれの時代のヘアメイクや衣装、セットも凝りに凝っている。これまで昭和レトロ風の作品はいろいろ見たが、こんなに見事に昭和30年代っぽさを感じさせてくれる映画はなかなかなかった。

それぞれの時代で事情も性格も違う女性たちがそれぞれに乗り越えて前向きに生きていくさまが描かれ、なかなかに共感できる内容。クライマックスは蒼井優の花嫁姿というのもいい。

で、そこでいきなり椿の花が登場なんである。
ほんの一輪、数秒であるが、気持ちを映画の内容から「資生堂・tsubaki」に引き戻すには十分である。

するとその場面以降、オリビア・ニュートンジョンをバッグにそれぞれ笑顔で歩んでいく女優たちの映像が、資生堂のCM映像に見えてくるからすごい。
そう、もちろん昭和11年にはなかったであろうが、昭和30年代にも、昭和50年代にも、こんな風に当時の色使いで当時の映像で、当時のヘアメイクで資生堂は美しいCMを世に送ってきたはずなのだ。私も実際に子供のころからずっと、資生堂のCMを見てきているからわかるのである。現代のシークエンスでママチャリで疾走するヒロスエなんて、今日にもそのままシャンプーのCMに使えそうな映像。
そこに気付いて逆に私は感動してしまった。
資生堂という国内随一の化粧品メーカーは、私の人生なんかよりもはるかに長い間、日本女性の美しさを多方面からプロデュースしてきた会社なんだなあ。そして女優さんたちが演じる女性たちに共感しながらこの映画を見てきて、最後にCM映像と見まがうものを見せられ、「CMで資生堂の製品を使っている女性は、あなたなんですよ」というメッセージまで受け取ってしまったりして。なんと見事なプロパガンダ。すごすぎる。

一本の映画としてみると、一企業の宣伝がもろに前面にでてしまうのはマイナスだと思う。でも本作の面白さも結局はその映像の面白さで、資生堂の映画だからこその映像なのではないかと思うのである。
nice!(3)  コメント(5)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

nice! 3

コメント 5

Sho

資生堂のコマーシャルとカネボウのコマーシャルが決定的に違うのは、
前者は「芸術品」だということだと思います。
カネボウは、あえて避けているのかと思うように、資生堂レベルのコマーシャルは作りませんね。
この作品は未見何ですが、予告編を観て、確かにその時代時代の雰囲気がよくでているなあ・・と思いました。さすが資生堂、細部までい届いていますね。竹内結子の回が、時代的には一番観てみたいです。
母が使っていた「ドルックス」、毎月出ていた広告誌の「花椿」、お風呂場にいつもあった「ホネケーキ」。
私の世代だと、DNAに「資生堂」が組み込まれているように思います。

他の国内の化粧品会社と比較して、「美」に対する執念みたいなものさえ感じます。
タイトルもいいですね。女の一生は「花」だなと思います。
いつか観たいと思います。
by Sho (2011-07-28 23:31) 

ken

「椿の花」に関する考察が、資生堂との距離感が男よりも近い“女性ならでは”と得心しました。僕にその解釈は無かったなあ。
昨年だったか資生堂のCMを集めたDVDが出ましたけど、ちょっと欲しいと思ったんですよね。だからこれは、新しい「資生堂のクリエイティブ」のカタチと思ってみると、相当面白い映画かも知れませんね。
by ken (2011-07-29 13:28) 

satoco

>Shoさん
勝手な推測だけれど、他メーカーのCMはお偉いさんのおじさま方の視点で作られている気がしますね。資生堂は広告代理店のクリエイターさんの視点ぽいです。というか裏にものすごいマーケティングがあるのを感じさせますね。ソニーと資生堂。ただ最近の資生堂のCMはキャッチコピーや映像に使い回しがあってちょっと心配です。
nice! ありがとうございます。

>kenさん
私くらいまでの女性にとって、思春期ごろに資生堂はかなり強力なブランドであって憧れの対象だったんですね。女優さんのチョイスも絶妙で。資生堂には一目置きっぱなしできているのです。そういうバックグラウンドがあると見方が変わってくる映画ですね。ただ映画を見た満足感は今一つでした。
nice! ありがとうございます。
by satoco (2011-09-10 16:40) 

noel

私は豪華なキャストでその家族の歴史の映画でも有るけれどなにか一筋すーっと通った物が薄かった気がします。それぞれはストーリーがあったのに全体として。
あの映画見て「ああ資生堂だな」と思わなかった人はいないと思います。
最初の女性として現れる真野響子さんからして美しかった。
「凛とした」「可憐な」「清楚な」など様々な言葉で表される女性の美しさを表現していたのですね。女性の数だけ美しさはあると言うことなのかもしれません。

by noel (2011-09-12 09:34) 

satoco

>noelさん
その一筋を頑張って探してみると、結局女の幸せって子供なの?という疑問がわいてきてしまう作品でしたw
いろんなタイプの女性をきれいに撮るということにかけては資生堂はすごいですね。
nice! ありがとうございます。
by satoco (2011-09-12 11:02) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。