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先生を流産させる会 [映画関連]

映画を観る本数に比べてレビューを書くことが少なくなると、そこで書こうという映画は、必然的に見たものの中でも印象に残っている作品になる。良くも悪くも。名作や佳作が印象に残るのは当然だが、きちんとした良い作品でもレビューには繋がらないこともある。駄作やそこそこの作品でも印象に残ることもある。ただとにかく、私の感覚でいえば印象に残っている作品であるということだけは確かだ。


さて本作。
2011年 内藤瑛亮 監督

なんという凶暴なタイトルだろう。悪趣味だ。こういった内容の映画を作ることには反対はしないが、そのままタイトルにするのはちょっとどうかなと私は思う。と思ったら実話をもとにした作品であり、先生を流産させる会なるものが実際に存在したのだという。なるほどそう聞くとなんとなく納得しなくもないが、実話ならどんなに凶悪なタイトルでもOKなのか?しかしだからこそ衝撃的なのも事実で、私もこのタイトルを見て興味を持った一人である。

妊娠した担任の先生を流産させようと、中学生が給食に異物を混入した事件がもとになっている。加害者を男子生徒から女子生徒に変更して脚色したこの映画は、思春期の少女が抱く性というものへの嫌悪感をテーマに盛り込んで分かりやすくまとまっていると思う。実際の事件はどうもいたずらの延長とか悪ふざけという印象なのだが、映画では一段掘り下げた形になっている。

ただそれによって実際の事件の凶悪さが押し隠された感があるのは気になるところだ。
男子生徒が起こしたこの事件は、幼稚な悪意がいとも簡単に目の前の妊婦への暴力という形をとってしまう所に多くの問題を含んでいる。根っこにある無意識な女性蔑視とかね。監督は幼稚な男子のありがちないたずらになってしまったら映画としてつまらないと判断したそうで女のドロドロ話になったわけだが、深刻な結果を引き起こす行為があまりに無造作に行われる所に男性から女性への暴力の怖さがあるのだけどね。

まあそれでもなかなかに良くできていて面白い。胸糞悪くなるような描写も多々あるので、観るには少々覚悟が必要。

何より印象的なのは、ヒロインを演じた小林香織。本作がデビューでお芝居もまあ実に固いのだが、とにかくすごく凶悪で、強烈に可愛い。日本人離れした美貌なのに、その笑顔は子供ならではの無邪気な悪意に満ち満ちていて圧倒される。彼女に比べれば「告白」の殺人男子学生なんてカワイイものである。



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