SSブログ

モンスター [映画関連]

実在のシリアル・キラー アイリーン・ウォーノスを描いた作品。
大幅に体重を増やして、体当たりの演技をしたシャーリーズ・セロンはこの映画でアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。実際、受賞がうなずける芝居だった。普段は美しいだけでなく物腰も上品な女優さんだが、この映画では立ち姿からしてものすごくガラが悪くだらしない様子で、普段のシャーリーズ・セロンが全く想像できない。

恋人セルビーを演じたクリスティーナ・リッチもすごい。というか、この恋人の人物造形が非常に生々しい。自分は一銭も稼がず、「あたし、飢え死にしそう」とつぶやく。食い扶持のために娼婦を続けろと言い、しかしアイリーンが稼ぎに行こうとすれば「行っちゃうの?」その図太さに自分自身全く気づいていない。高飛車ではなく、むしろ弱々しいのにはまってしまった相手はずるずると言うことを聞かされている。実際、こういう女性にはまって貢いでしまう人は多いのではないだろうか。

逮捕されたアイリーンとセルビーが電話で話すシーンは圧巻。セルビーはおそらく司法取引をしていて、アイリーンから証言を引き出すために電話しているのだが、アイリーンも途中でそれに気づく。気づいたアイリーンはセルビーに愛の言葉とともに、「私は死ぬだけ。もう二度と会えない。さようなら」と語る。

自分自身、人を殺した自分を許すことができない。しかしセルビーを愛したという事実があることだけが、アイリーンの救い。そんなにも救いのない人生も、確かに存在する。しかしだからといって殺人を犯していいわけではない。無知であることが悲しいと思った。無一文で学歴もない娼婦が一般企業に就職することはほとんど不可能だということを知らないこと。いくら愛する相手でも収入のあてもなく保護し続けるのは不可能だと知らないこと。そしてそれを知っているのにいわずにあえて相手に依存するセルビーの恐ろしさ。

実在の殺人事件を扱ったものとしてはいささか犯人を擁護しすぎている感がある。シャーリーズ・セロンの熱演のせいもあるが、ストーリーも実際の事件よりはややソフト。実際はセルビーも一緒に行った強盗もあるし、セルビーに出会うまでにも強盗は何度か行っている。

ただ実在のアイリーンも、恋人だけが心のよりどころであり、裏切りを知ったことで絶望し死刑を促すような態度をとり始めるようになったそうだ。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

無事です落ちたくない ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。