半落ち

観たいと思っていた映画をwowowでキャッチ。やったー。

私は原作未読のため、｢空白の二日間｣には興味津々。そしてきっと心温まる結末に違いない、という予想もある状態での鑑賞だった。

前半部分がとくにいい。柴田恭平にまずびっくりした。寺尾聰はもともとこの手の役にぴったりなので期待値も高かったのだが、柴田恭平がこんなにいいお芝居をするとは。柴田恭平が直接寺尾聰を取り調べるのは前半のほんの短い時間だけなのに、その短い時間の間に、この刑事になら本当のことを話すのではないか、と期待するような空気が漂う。

他の俳優陣もみなきっちり仕事をしているという感じ。とくに西田敏行や國村隼らが出番が少ないのにしっかりとキャラクタを感じさせるのには本当に感心した。
しかし鶴田真由と田辺誠一の記者コンビはかなり力強さが足りない。特に鶴田真由。問題があるわけではないのだが、存在感が弱いというか。重要な役なのに、他の役者陣の中で完全に存在がかすんでいる。まぁ相手が樹木希林では可哀想か。

後半は視点が散漫になり、また中盤あたりで空白の二日間の行動が読めてしまうため、前半の面白さに比べると大分テンションが落ちる。ここは後半から記者をしっかりと主人公に据えてしまうとか、砂の器のように回想で押しまくるという手もあったように思うが....。

オチが中盤から読めるのもあってミステリーの楽しみはない。大体寺尾聰という時点で、悪人には見えないし。これは人間ドラマです。｢誰のために生きているのか｣という問いかけに対する、主人公梶の語られない答には少し感動した。そしてしっかりした俳優陣のおかげで、いい映画になっていると思う。