武士の一分 [映画関連]
2006年 山田洋次監督
山田洋次×藤沢周平の3作目。｢たそがれ清兵衛｣｢隠し剣 鬼の爪｣が当たり、この路線もいけるってことになったところで主演は木村拓也である。
｢たそがれ清兵衛｣｢隠し剣 鬼の爪｣はものすごく気になっているが観ていない。なので本作で初めてこの3部作を見て、すごく映像をキレイに丁寧に作っているのに驚いた。セットも衣装も安っぽくなく、嘘っぽくなく、汚くなく。力が入っているなぁ。
しかし木村拓也の武士姿は、正直ちょっと引いた。ちょんまげが似合わない。顔がバタ臭いというか。
これはヘアメイクのせいなのではないだろうか。他にも顔の濃い俳優さんが沢山時代劇に出ているが、みんなちゃんと似合うヘアメイクをしているからここまでの違和感を感じずに済んでいるのだと思う。それくらい木村拓也のちょんまげは変だ。コントみたい。
そして台詞回しもいわゆる”キムタク”。せめて方言があってよかった。
木村拓也はすごく一生懸命頑張っていると思う。でもいつもどこかうまくいかないんだなぁこの人は。
さて木村拓也の責任ではないと思うが、主人公の武士がどういう人間なのかがはっきりしないのが物語の輪郭を曖昧にしているような気がする。
盲目になった侍が剣術である意味ミラクルを起こすストーリィだが、これがひょうひょうとした男が実はやるときはやる男だった、ということなのか、それとも主人公はひそかにものすごく強い男だった、ということなのか、意思の力でミラクルを起こしたのか、そういうことがよく分からないのである。
全体に淡々とした描き方で、写実的。果し合いのシーンも緊張感はあるが引きのアングルばかりで臨場感はないし。それはそれですごくきれいな映像ではあるのだが、ちょっと淡々としすぎているような気がした。もう少し見せ方のメリハリとか、盛り上がりとか、そういうものがあってもよかったのではないだろうか。
美しい妻の壇れい、使用人の笹野高史もそれなりにいいがステレオタイプ。特に笹野高史は大絶賛されていたけど、笹野さんの仕事としては普通だろう。
｢雨あがる｣には感動したんだけどなぁ...。寺尾聰もすごく強そうで格好良かったし。
（監督も違うし、引き合いに出すべきではないね。)
ところで盲目の役を演じるにあたり、山田洋次監督は木村拓也に｢セントオブウーマン 夢の香り｣を参考作品として推薦したそうである。パチーノがお手本だったらしい.....。木村拓也はこの映画の存在を知らず、観ていたく感動したそうである。
なんだか私がキムタクの代わりにパチーノに謝りたくなった.....。
「たそがれ～」も「隠し剣～」もご覧になっていないとはなんとも勿体無い。
三部作で一番観ちゃいけないものを観ちゃいましたね（笑）。
キムタクのズラが似合わないのは万人が思うところだったのでしょう。
彼のズラ顔は当初一切マスコミに出てきませんでしたからねえ。
by ken (2007-11-30 15:54)
基本的にスカパーかwowowで放送しているのを見ているので、これを先に見てしまったんですよー。ものぐさせずにレンタルDVD屋さんにも行かなくては。
そうか、マスコミにズラ面が出なかったから今回余計びっくりしたんですね。
by satoco (2007-11-30 23:51)