SSブログ

刑務所の中 [映画関連]

花輪和一の同盟漫画を崔洋一が映画化。主演は山崎努。

花輪が実際に刑務所で受刑したときの体験を漫画化したのだが、もともと花輪の画風や語り口に独特の魅力があるため、原作漫画はとても面白い。

で、この映画もとても面白い。原作の味がとても良く出ている。
それは、花輪という主人公の個性につきる。花輪の眼を通してみると、刑務所がとても面白い場所に思えるのだ。個性的な受刑者達、ささやかに変化のある日常、そこにはシアワセの一形態、「ゆったりした時間の中でその日するべきことをする」喜びがある。が、シアワセの別の形態、「自由」が決定的に奪われているのだが。
こういう味を出すのが、山崎努は本当に上手いなぁ。散漫になりがちなエピソードを味でまとめてしまっている。

見ると刑務所に入ってみたくなる危なさは原作にも映画にもある。が、決定的に違う部分もある。原作では、ラストで受刑者は豚として描かれる。毎日決められたとおりに楽しくすごすのもいいことだが、自由・発展がない場では人は豚になる。
映画では、青空と刑務所の庭に咲くタンポポがクローズアップされ、とてものどかでほのぼのとした終わり方だ。

くたびれきった不況の世の中に、小さな変化やシアワセに敏感になる刑務所の楽しさを提示して、ちょっと休もうよ、とでも言っているのか。でも厳しい視点も同時に存在している原作のメッセージの方を私は支持したい。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

西を目指すS.W.A.T ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。