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サンシャイン・クリーニング [映画関連]

アカデミー賞の授賞式は恐ろしい。ちょっと見始めるとついついうっかり何時間も見てしまう。
今年は大好きなアン・ハサウェイの素敵なドレス姿とチャーミングな笑顔を堪能して満足です。助演女優賞を受賞したメリッサ・レオのスピーチに感動しました。
そして「レオン」のお嬢ちゃん、ナタリー・ポートマンが堂々と主演で受賞し、アホ面の男の子だと思っていたジェームズ・フランコが立派に司会をして男くさい役でノミネートもされていて、久々に見たビリー・クリスタルが老けていて(でもやっぱり彼を見ると胸が熱くなりますな)、でもってジェニファー・ハドソンがすっかり痩せて見事なゴージャス美女になっているのを見て、自分が年をとったのを実感してしまいました。

さて助演にノミネートされていたエイミー・アダムズを見ていたら、彼女のいい作品を最近見たことを思い出しました。

2009年 クリスティン・ジェフズ監督

イキイキと力強く生きるいわゆる"負け組"たちを描いた「リトルミス・サンシャイン」のプロデュースチームが製作したのだとか。本作も世間的には負け組と言われているであろうヒロインの奮闘が力強く描かれる。

ヒロインは学生時代は学園のアイドルだったのに今はシングルマザー。清掃の仕事をしながら、ステップアップを狙って資格取得の勉強をしているが、いつもカツカツで不倫相手に援助もしてもらったり。その不倫相手というのは学生時代は対等に付き合っていた元彼だというところがまたイタイ。
家族を振り返ればなんでも舐める癖がたたって小学校を退学になる息子と、すぐに切れてバイトを首になる、典型的なダメ若者である妹、一攫千金を狙って怪しい事業に手を出しまくる父親と、厄介に厄介を重ねたような境遇。そんなヒロインがある日不倫相手から割がいいと聞いて、始めるのが事件現場の清掃事業。血痕や肉片、排泄物、嘔吐、腐乱死体からついた染みなどの痕跡をきれいにする仕事。フラフラしている妹もなんとか引き込み、助言をしてくれるショップ店員とも出会い、なんとかスタートさせるが...というお話。


簡単に紹介を書いただけでずいぶん長くなってしまった。が、話はシンプル。しかしこの複雑な設定が絶妙にリアルでよいのである。

学校では成績もよく、美人でチアリーダーでみんなの憧れだった。その後もまじめにやってきた。しかしちょっとのずれが重なって、数年たつと羽振りよくいい仕事に就いている元彼や元同級生とは大きな格差が。そんな現状に納得できず努力もするし、過去の栄光を思って涙したりも。でも毎日一生懸命生きている。事件現場の清掃というのはきついだけじゃなく危険も多い仕事。普通好きな女性には勧めない。元彼からそんな扱いを受けても、息子のためにたくましくチャレンジ。そんな不器用なヒロインが素晴らしく愛しい。エイミー・アダムズがまた素晴らしくて、「魔法にかけられて」でしか彼女を知らなかった私は大いに驚いた。
人はよいのに失敗ばかりの父と妹もすごくいい。父役はアラン・アーキン。この手の役は彼の独占市場だよね。見ていて苛々するのに憎めない。

姉妹がきつい仕事を果敢にこなしていくのに加えて、亡くなった方に心を寄せてこの仕事の崇高さにまで気づいてゆく様は圧巻。
また、不幸、不運の中にいても、ささやかな夢や希望があるというテーマを象徴しているのが亡くなった母親のエピソード。この見せ方もすごくうまい。

人間手っ取り早く世間をうまく渡りお金のある生活をするのにはなにより要領と器用さが必要だ。不器用な人間は何をやってもあっちこっちガタガタぶつかりながら。そういう生活を描いていながらも、明るく前向きなエンディングが素晴らしい。元気が出る映画。「リトルミス・サンシャイン」ももう一度見たくなった。
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Sho

この映画、絶対観ます。
読んでるだけで元気になってきちゃった(笑)
同じ職業が、田口ランディの「コンセント」にも出てきますね。その人のことを「修行僧のように澄んだ瞳」というような形容詞がありました。
又、特殊清掃の方のブログも時々おじゃましますが、内容も文章もものすごく― なんと言いますか、すごいなあ・・といつも思っています。
「エリンブロコビッチ」や「フラガール」を思い出しました。
一所懸命な女たちは(もちろん男もですが)愛おしいです。
最近は、「その愚直さが成功に導く」という気がたまにします。
by Sho (2011-03-01 22:48) 

カオリ

satocoさまのレビューを読んで、「そういえばワタシ、これ録画してる!」と思い出し、さっそく観ました。
エイミー・アダムス、結構好きなのですがこの役はイメージじゃなくて意外だったのですが、なんというか「生きる」パワーがすごく感じられてとてもよかったです。

ナタリー・ポートマンとジェニファー・ハドソン、まったく同じことをワタシも思っていたので笑ってしまいましたw
by カオリ (2011-03-03 16:34) 

satoco

>Shoさま
「コンセント」もなかなかおもしろかったですね。本作は「エリン」や「フラガール」よりだいぶビターで恰好悪いところが現実感があって私は好きですね。とくに父親のエピソードのトホホ感が半端じゃないです。
元気出ますよ~
nice! ありがとうございます。

>カオリさま
エイミー・アダムズ、いいパワーありますよね。そしてジェニファー・ハドソン、驚きましたよね。首から下のショットを見たときはハル・ベリーと間違えてしまいました。しかし後で本物のハル・ベリーが出てきたときは迫力が全然違いましたがww
nice! ありがとうございます。
by satoco (2011-03-07 10:14) 

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