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パラノーマル・アクティビティ [映画関連]

2007年 オーレン・ぺリ 監督

ハンディカメラを用いて登場人物が自分たちを撮影したという体裁をとった、いわゆるモキュメンタリ。ホラーにうってつけの手法だ。

そんなに面白い映画ではないのだが、モキュメンタリのリアル感に合わせて、全体を卑近な話にしたのは良かったところ。ちんまりした恐怖が「自分がこの状況になったらたまらなく嫌だ」という想像を容易にする。スピルバーグはじめ時々ものすごく怖いという観客が出るのはそのせいだろう。

一本の映画として見ると、オチがあまりにひねりがなさ過ぎて物足りない。脚本は段取り的で稚拙。しかし演出はそこそこ。斬新な映画のように見せて、昔からある「家に悪霊が棲みつく」映画の定番的な見せ方を踏襲していたりして、意外と基本をちゃんと押さえている感じ。低予算でもチープに見せない工夫もされているし、モキュメンタリとはいえハンディカメラのライブ感は「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」には遠く及ばず、つまり新味がない分オーソドックスで、普段あまり映画を見ない向きにはとっつきやすいのである。

ただここまでヒットした要因は私には宣伝が上手かったからとしか思えないのだけれどね。

しかし本作にエポックメーキング的な印象を受けるのは、その製作費である。たったの一万五千ドル。編集用パソコンが40万円、カメラも40万円だそう。たった80万円の機材で、映画館にかかるに足る映像が作れちゃうご時世なのだ。40万円のPCって、結構ご家庭にあるレベルだと思う。それでこのくらいの画像処理ならできちゃうご時世になったんだなあ....

一方で「アバター」など画像処理に莫大な予算がかかる映画が作られている同時代に、映画製作費の低予算化のサンプルみたいな作品も世に出ているのが面白い。今後もこういった新進監督の超低予算映画は一ジャンルとして続いて行くのだろう。少し前までは低予算映画といえば脚本勝負だったと思うのだが、今後はそれだけではないのだろうね。楽しみだ。

そしてもう一つちょっと考えさせられたのは、netで情報収集をしたら、本作がモキュメンタリではなく本当のドキュメンタリだと本気で信じている人が少なからずいると分かったことである。そのような方々には、「ブレアウィッチ・プロジェクト」を見ても同様に思うかどうか、ぜひ見てみてもらいたいものである。
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hash

アメリカのホラー映画と言えば、ゾンビやヴァンパイア、謎の殺人鬼が大暴れというのが、定番でしたが、最近、それらはあまりヒットしていないようですから、本作の大ヒットにより、流れが変わるかもしれませんね。
by hash (2010-12-27 00:54) 

satoco

雰囲気で見せるというのは日本のホラー映画を参考にしているかもしれませんね。アメリカではホラー映画は鉄板のジャンルなのに、難しくなってきているんですね。
nice! ありがとうございます。
by satoco (2010-12-29 02:17) 

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