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ベスト・キッド [映画関連]

2010年 ハラルド・ズワルト 監督

1984年のヒット映画「ベスト・キッド」のリメイク。
今回は空手ではなくカンフーがモチーフ。師匠にジャッキー・チェン、主人公にウィル・スミスとジェイダ・ピンケットの息子、「幸せのちから」で映画デビュー済みのジェイデン・スミス君という豪華キャストである。

今なぜベスト・キットがリメイクか、本作を見ていると、どうも親ばか夫婦が可愛すぎる息子にはどんな映画がいいか、で考えたのがこれだったという気がしてならない。エンドクレジットに自分たちも出ちゃってるしね。
相手役がジャッキーというのもね。申し分なしでしょ。
しかしスミス夫妻の勢いというかすごさというか、親ばか映画でありながらも一本の映画としてちゃんと成り立っている。ジェイデン君も抜群のDNAのおかげか親の七光りなんぞなくても十分通用しそうな存在感と可愛さ。ジャッキーから出演の条件としてジェイデン君のカンフーの訓練を言い渡されたそうだが、それもしっかりこなしてアクションもちゃんとやっている。まあ見事なもんである。


オリジナル版はアメリカの話だった。主人公は見るからにさえないいじめられっ子。いじめっ子たちはアメリカ人がやっている悪どい空手道場に通う悪どいやつら。それに対して日本人のミヤギ氏が、ただの喧嘩の道具ではない、武道である空手を主人公に教え、そして勝つ。主人公を取り巻く状況はアメリカのごくごく日常的な光景だからこそ、異文化の空手が際立つ面白さがあった。

しかし本作の舞台はなぜか北京である。主人公の方が異物。なのでカンフー文化とそこにあるコミュニティに対して主人公が殴り込みしてきちゃったような印象になってしまった。オリジナル版が、空手そのものがマジョリティに対するカウンターパンチ的な存在だったのが、本作ではカンフーは男子の必須科目みたいだ。アメリカが舞台じゃダメだったのかな。ダメか。だってジェイデン君はアメリカじゃいじめられないだろうから。

ジェイデン君はすごく可愛いし頑張っていて好感が持てるのだけれど、彼以外のキャストも素晴らしくいい。ジャッキーはしょぼくれた役ではあるけれど、俳優としてはすごくいい仕事をしている。しかも子供たち6人を相手に守りといなしだけで魅せるアクションシーンは美しいの一言で、アクションスターとしてのジャッキーのすごさも垣間見ることができる。敵役の少年がまた素晴らしい。とてもきれいな顔をしている子で、セリフは少ないのだけれど微妙な表情がすごくうまい。すごい子を探してきたと思う。

母一人子一人の家庭で、母の愛情からだんだんと巣立とうとしている少年を、父のような存在が導く。一般的には男の子には男親が必要だなんて私は思わないけれど、そういうものを本作はすごく優しく描いていると思う。親視点で見るとジェイデン君の可愛さは奇跡だ。

ストーリィはそれなりではあるけれど、楽しい映画である。
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ken

そうか、これは金と名声にモノを言わせた親バカ映画だったんですねw
すごく納得しました。
でもそんなこと気にしないで、のびのびと演じたジェイデン君も肝が座っている。
これはこれで大スターの息子じゃないと出来ないことかも。
それにしても相変わらず言葉の選び方が綺麗なレビューでした。
by ken (2011-09-12 12:12) 

satoco

kenさん、過分なお言葉、恐縮です。

この手の親ばか映画でこんなに成功してしまうのがスミス家の勢いの凄さですね。

nice! ありがとうございます。
by satoco (2011-10-17 19:36) 

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