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トワイライト~初恋~ [映画関連]

2008年 キャサリン・ハードウィック 監督

以前「恋空」をローティーン女子の妄想と書いたが、妄想を映像化すること自体は悪いことではない。映画が良くできてさえいれば。

本作の原作は、大ベストセラーのティーン向け小説。なるほど素晴らしくロマンティックだ。(女子の妄想全開とも言う)

主人公は普通の少女だが、ものすごく色白で性格はテンション低め、そしてなぜか特別な血を持つ。文学少女の抱く理想の自分像にかなり近い。
恋の相手はヴァンパイア。恋愛ドラマにつきものの障害はばっちり。しかも美青年、敏捷、超人的な能力を持ち、音楽の才能もある。どうでもいいがお金持ち。「君を守る」というセリフ連発。おまけに主人公にものすごく欲望を感じているがそれを我慢している。ここ重要。ま、王子様である。しかもヴァンパイア一族とは言っても、人間には手を出さない一派だとか...都合がいいものだ。日に当たっても死なないし。

こんな露骨な話をよく映画にしちゃったなと思いつつも映像の美しさには舌を巻く。雨模様のニュアンスある色彩で描かれる森林の風景はとても幻想的だし、アクション描写にも品がある。少女趣味のおとぎ話でもここまでの映像美を持ってこられると見ごたえがある映画になるものだ。

ヴァンパイアという種族の孤独や哀しみは多くの作品の題材になっているが、本作はそう言ったことを描きながらも青春恋愛映画という軸ははずさない。命がけの大事件の後、プロムでしっかり踊らないと終われないのである。ティーンに受けるためにはそれが大事なのである。

主人公のクリスティン・スチュワートがかなりの美少女で、豪華絢爛なストーリィに似つかわしい風情。
相手役のロバート・パティンソンは、登場シーンのメイクがまるっきりバカ殿でかなりびっくり。アメリカ人に美しいヴァンパイアの表現て無理なのか??と疑ってしまった。登場シーン以後も照明のせいかメイクのせいか眉が異常に濃すぎたり唇が紅すぎたりして滑稽な姿が散見され、これで麗しい口調で「僕が君を守る」と言われても...ってところもなくもないんだけど、まあ時々顔が変なこと以外は超絶的に格好いい王子様をうまくやっていると思う。

が、しかし本当にあの顔はないよなあ....
普段あまり画像を載せたりしないのだけれど、我慢できないので美しいヴァンパイアの手本を。

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エドガー・ポーツネル。
彼こそ本物の麗しきヴァンパイア。獣の血どころか薔薇のお茶を愛飲しているのだ。
本作の主人公エドワードはおそらくエドガーの影響を受けている部分がありそうだが...

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クリストファー・リーのドラキュラ。
実は私が子供の頃見て一番最初に格好いいと思った映画のキャラクタです。



男性にはあまり興味を持てない世界なのかな?と思いつつ、若者向けらしくストーリィにきちんと起伏があるので、連れ合いもそこそこ面白かったらしい。

さて勢いで続編も続けて観賞します。

カールじいさんの空飛ぶ家 [映画関連]

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年は「見たら書く」に挑戦しようと思っていましたが、追いつきませんでした。映画は見たいですがさらに記事まで書く時間をとるのはなかなか難しいです。今年は気楽に、「気が向いたら書く」位にしておきます。

さて本作。

2009年 ピート・ドクター/ボブ・ピーターソン 監督

つくづくピクサーの映画は高水準だと思う。子供に分かりやすく、大人も感動できるように、シンプルで分かりやすく退屈でないあらすじをしっかりとつくってある。その強固な土台の上にある、美しい音楽と映像や、物語を語る際の手際のよさや、迫力ある演出など、一つ一つの要素が高品質なのだ。隙がないというかなんというか。

とにかくよく出来ている。主人公のキャラクタは人間味があり、妻や家、冒険に対する思いもしっかり描かれた上で夢のような冒険の始まり。同行するのは有色人種の少年、父の愛情に飢えているが前向きに明るく頑張っている。目的地の風景は圧巻の美しさ、旅先で出会う個性豊かな動物や敵キャラクタ。
この敵キャラクタにもストーリィがあって、物語に厚みを出している。

そしてそんなにも愛していた妻の思い出がいっぱいに詰まった家財道具を主人公は軽やかに捨て去る。そこにあるのは未練や寂しさではなく、過去への執着と愛着だけで余生を過ごそうとしていた主人公が、今生きている人生は余生などではないと気づく、希望に満ちた力強さ。
今を生きるのが好きなアメリカ人らしい感覚のような気もするけれど、日本人にだってすごく共感できるシーンだと思う。帰路のことを考えない冒険のたびに出た主人公は、物語中では語られないがおそらく目的地に付いた後はもう死へ向かう生き方しか考えていなかったのだと思う。しかしここで彼は再び生きようという気力を取り戻したのである。

しかもそうして思い出の品々を置いてくるのが、妻といつか行こうと約束していた地であるというのがまたニクい。

そういう細かいところまで気配りが行き届いているのがピクサーのいいところ。ただ面白いストーリィを語るだけではなくて、そこに大量の風船で家が空を飛ぶファンタジーを絡めたり、キャラクタに魅力があったり、物語のオチ以外にも、随所にある小ネタにも小オチがあったり、隅から隅までサービス満点。

万人が安心して見られる、いい映画だと思う。

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない [映画関連]

2009年 佐藤祐市 監督

本作を見て抱く感想は、その方々がどんな職場で働いているか、が色濃く反映されることが多い。
まさにブラック会社で働く方は身につまされるか、いや現実はもっと酷いととるか。運よく恵まれた環境で働いている方はぴんと来ないだろうし、無職だったら単純にフィクションとして楽しむことができるのかも。

さて私はといえば、現在は無職だが数年前まで働いていたのはIT業界、まさに本作の舞台と同じ業界である。

私が働いていた会社も、まあそれなりにいい会社だったのだけれど、ブラック企業の条件をところどころ満たしているような部分もあったので、そこそこすごいことはよく起こっていた。この映画を観ると、ついつい自分の会社ではこうだった、とブラックな事例を出したくなる。でもそこはぐっとこらえておくことにする。
本作で描かれる会社は相当ブラックだ。と、思うんだけれど、現実と比べて酷いと感じるのは経費がことごとく認められないことくらいかなあ。それ以外は似たようなことを多かれ少なかれ経験したり見聞きしてきた気がする。

映画では主人公は中卒の元ニートだからブラック会社で働くハメになり、あくどい先輩のせいで仕事量が増えてしまうのだが、それは作劇上の救済措置ではなかろうか。
現実には東大出の人材もやすやすとブラック会社に吸い込まれていくし、高学歴でありながら薄給でデスマに耐え無茶な要求をこなしている社員も多い。
IT業界は他業界に比べ歴史が浅いのもあり、デスマが生まれる要因のほとんどが構造的な問題である。そうしてブラック会社の話題がブームを過ぎた後もワーキングプアという社会問題があちこちで起こっているのである。
でもそんなこと描いた映画は見ていて気が重くなるだけ。コメディタッチにするためには、主人公は元ニートくらいにしておいたほうが賢明である。

入社直後にこきつかわれるならまだマシというもの。そこからでも育つ人は育つし、雑草のようにたくましく育って図太く働けるようになると結構楽しいものだし。
映画も結局そういうところに着地する。でもそれは決していいことじゃないのだけれど。ブラック会社でも生きていける自分になってしまうことは、勝ち組への道からはちょっと遠い。
本当に絶望するのは、5年たっても10年たっても最初の状況が変わらず昇給も先の展望も望めないときである。本作の主人公、マ男もおそらく数年後にはそういう状況になっていることだろう。

こんな内容の映画だけれど小池徹平の可愛さ(?)やデスマ中もお肌ツルツルのマイコちゃんのおかげもあってか、現実味なく明るく見ていられる。社員もみんなきちんと座ってデスマしているしね。

パラノーマル・アクティビティ [映画関連]

2007年 オーレン・ぺリ 監督

ハンディカメラを用いて登場人物が自分たちを撮影したという体裁をとった、いわゆるモキュメンタリ。ホラーにうってつけの手法だ。

そんなに面白い映画ではないのだが、モキュメンタリのリアル感に合わせて、全体を卑近な話にしたのは良かったところ。ちんまりした恐怖が「自分がこの状況になったらたまらなく嫌だ」という想像を容易にする。スピルバーグはじめ時々ものすごく怖いという観客が出るのはそのせいだろう。

一本の映画として見ると、オチがあまりにひねりがなさ過ぎて物足りない。脚本は段取り的で稚拙。しかし演出はそこそこ。斬新な映画のように見せて、昔からある「家に悪霊が棲みつく」映画の定番的な見せ方を踏襲していたりして、意外と基本をちゃんと押さえている感じ。低予算でもチープに見せない工夫もされているし、モキュメンタリとはいえハンディカメラのライブ感は「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」には遠く及ばず、つまり新味がない分オーソドックスで、普段あまり映画を見ない向きにはとっつきやすいのである。

ただここまでヒットした要因は私には宣伝が上手かったからとしか思えないのだけれどね。

しかし本作にエポックメーキング的な印象を受けるのは、その製作費である。たったの一万五千ドル。編集用パソコンが40万円、カメラも40万円だそう。たった80万円の機材で、映画館にかかるに足る映像が作れちゃうご時世なのだ。40万円のPCって、結構ご家庭にあるレベルだと思う。それでこのくらいの画像処理ならできちゃうご時世になったんだなあ....

一方で「アバター」など画像処理に莫大な予算がかかる映画が作られている同時代に、映画製作費の低予算化のサンプルみたいな作品も世に出ているのが面白い。今後もこういった新進監督の超低予算映画は一ジャンルとして続いて行くのだろう。少し前までは低予算映画といえば脚本勝負だったと思うのだが、今後はそれだけではないのだろうね。楽しみだ。

そしてもう一つちょっと考えさせられたのは、netで情報収集をしたら、本作がモキュメンタリではなく本当のドキュメンタリだと本気で信じている人が少なからずいると分かったことである。そのような方々には、「ブレアウィッチ・プロジェクト」を見ても同様に思うかどうか、ぜひ見てみてもらいたいものである。

エスター [映画関連]

2009年 ジャウム・コレット=セラ 監督

残酷な美少女をモチーフとしたポスターが美しく、興味を持った。情報を見てみると衝撃のラスト、少女の意外な正体に言及しているものが多く、かなりすれた評論家の方のコメントでもこれには驚いたと書かれていることが多かった。そうは言ってもたいていの"衝撃のラスト"にはびっくりしなくなっている私なので、たいして期待せずに見てみた。

なるほど、びっくりとまでは行かないが、一ひねりしたなかなかいい設定である。とくにエスターを演じた子役が上手く、この意外な正体がじつにしっくりはまるお芝居をしているところが素晴らしい。

惜しむらくはこの正体が少女の恐ろしさに直結しないところ。この少女がなぜ怖いのか、というところに正体の意外性が関連してこない。むしろ物悲しさがただよってしまったりして。正体がばれる前の印象の方が恐ろしい気がするのだけれど。

家庭に侵入してきて家族にいさかいを起こし主婦を孤立させる筋書きと言うと、犯人は冷徹で計算高いというイメージがあるが、エスターはわりと感情的で合理的でない行動も目立つ。家族間の問題も盛り込みすぎて生かしきれていず、脚本の完成度はあまり高くない。設定は面白いので、もっと突っ込んでもっと深く鋭い作品にすることも十分可能なはず。惜しい。

子役の好演もあり、エスターというキャラクタはホラーの悪役としてはとても存在感がある。「ソウ」シリーズのジグソウにも負けてないんじゃないだろうか。たぶん作らないだろうけれどシリーズ作品をもう1,2本作っても持ちそう。私は大いに気に入った。

エスターをはじめとして、弟や妹役の子たちまで、子役がみんなすごくいいお芝居をしている。末っ子がものすごく可愛いです。

ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー...ですか!? [映画関連]

2010年 松本理恵 監督

タイトル長いって。

子供に付き合っての映画鑑賞も、仮面ライダーはそこそこ楽しめたのだけれどこちらはちょっと辛かった。ちいさいこに見せるのに良心的な内容であるし、普段のプリキュアと違って、パリを舞台にしたり、決戦の場所がモン・サン=ミシェルだったりとそれなりに見どころを用意してはあるのだけれど。内容に新味がなく。まあそれは守らなければいけないお約束が多すぎるから無理もないのだけれど。いやしかしすごいよね子供向けアニメにモン・サン=ミシェル。それが一番驚きました。

プリキュアというアニメは長い歴史を持つシリーズなので、映画版も幾つも作られているが、シリーズの特徴として、観客が参加できるシステムがある。ミラクルライトである。

入場すると子供にだけ、可愛らしい小さな懐中電灯のようなものが手渡される。映画のクライマックスで、プリキュア達を応援するために、そのライトを点灯するように画面からキャラクタが呼びかけてくるのである。劇場内の子供たちは、映画の間中ミラクルライトを使うのは今か今かと待ち構え、その時になると張り切ってライトをぶんぶん振り回す。小さい子にも飽きずに映画を見ていられるようにするためのしかけだ。

が、それにしてもクライマックスまでがちょっと長すぎ。ライトを使う場面も短いしね。でも昨今この手の参加型映画ってあまりないので(というかかなり珍しいかも?「ロッキーホラーショウ」くらい?)ちょっと楽しいシステムだなと思ったりします。

鴨川ホルモー [映画関連]

2009年 本木克英 監督

原作の第一印象は「なんじゃこりゃ」だった。現実感のある、実にありそうな日常の中に唐突に割り込んでくるものすごくばかばかしい非日常。筆致もポップで、時々ポップすぎて悪乗り感すら感じるほど。でも私はこの本を好きになった。学生たちが可愛くてね。ホルモーの背景となる陰陽道については以前から少しものを読んだりしていたのもあって遊び心あふれるアレンジも楽しく。

さて映画を見るときにはもう「なんじゃこりゃ」という新鮮味を味わうことはできないわけだが、原作の持つばかばかしい突飛さやおふざけ感は忠実に映像化されていると思った。特に、式鬼どうしの戦いであるホルモーのシーンは文字で読むよりやはり映像で見せられた方が楽しめる。ちっちゃい式鬼たちのビジュアルやしぐさも可愛くてね。合戦映画のパロディみたいなアクションをする場面もあり、映像の方も遊び心満点。

「げろんちょりー!」「ぱごんちょりー!」なんて言葉を思い切りよく怒鳴るたびになんだかすっきり。相手をぶちのめす後ろめたさを式鬼でかわしつつ爽快感だけは感じてしまうというよく考えるとあくどい競技だ。

主演の山田孝之はもはや盤石という風情。面白い。ライバルを演じた石田卓也が、「リアル鬼ごっこ」では寒気がするほどの棒読みだったのが今回それなりに見えたのに驚いた。
栗山千明の凡ちゃんが原作ほど格好いい役でなかったのが残念。原作ではカリスマ的な天才軍師なのだ。

さてホルモーについつい目が行きがちだが話の本筋は等身大の青年たちの青春ストーリィ。ドラマが動くきっかけはもっぱら、あいつが気に入らないとか、好きな女の子の取りあいとか、普通の学生生活にごくごくありふれたことばかりだ。そしてみんなそれぞれに格好悪いところがあって憎めない。

深い映画ではないけど、それなりに楽しめる。ただやはり原作と同じで悪乗りしすぎと感じる部分はあって、そこはやっぱり興をそがれるのである。コメディは難しいね。

ヤッターマン [映画関連]

2008年 三池崇史 監督

子供の頃見たなあ、このアニメ。

アニメの原作からキャラクタや特徴的なディテイルを豪華な映像で再現した映画。というだけである。
だから原作を知らない方は楽しめるのかどうかとても疑問。
それにしてもすごい映像だ。CGがどうというだけじゃなく、極彩色でキラキラしくて豪華絢爛。それでこの内容というのは予算と技術の無駄遣いという気がして仕方がない。

映画を見れば見るほど、アニメが面白かったよなーということばかり思いだされる。ギャグも下ネタも、カラッと明るくてね。歌も楽しいし。
本作がいけないのは多分脚本とテンポが悪すぎるってところなんだろうけれど、とにかく笑えないし、下品だ。

2時間、深キョンのドロンジョに「すかぽんたん!」って言われ続けてる方がずっといい。
深キョンドロンジョは最高でした。このゆるーいドロンジョが出ているシーンだけ見れば十分。生瀬勝久 、もう大御所なのにおなか出して、よくやるなあ。ケンコバもいいし、ドロンボー一味に力入れすぎじゃなかろうか。いやそれにしてもドロンジョはいい。いいです。

隠し剣 鬼の爪 [映画関連]

2004年 山田洋次監督

これはおもしろい!
武士もおのおの事情を抱えて働いている描写、地味な武士が実は遣い手であるという設定、切りたくない相手を切れという上司の命令への苦悩、身分違いの恋、と同監督の前作「たそがれ清兵衛」の姉妹作とでも言うべき作品である。
が、私はこちらの方が数段好き。

「たそがれ清兵衛」になくて本作にある、一番大きなものは、時代劇としての痛快さである。隠し剣、鬼の爪とはどんな剣なのか。それは途中でわかってしまうのだけれど、それでもそのシーンはぞくぞくするほど格好いい。これを引きで見せるところが山田洋次の良さなんだよなあ。ビシッと固定した風景の中で一瞬の動きが鮮やか。山田監督はこういった動と静の際立たせ方がすごくうまい。

主人公を取り巻く状況も、時代劇らしく(?)ちょっと賑やかで脇の登場人物たちもそれぞれに見せ場があり、見ていて楽しい。

山田監督とは役者の趣味があんまり合わないかなーと思う作品もあるのだが、本作はどんぴしゃり。永瀬正敏は普通の男でありながら根性が据わっている役をするとはまる。山田作品には過去にも出演しているが、いつも魅力的だ。松たか子。文句なし。この人はお金持ちのお嬢様も庶民もやれるところが偉い。発声がすごくいいのでいつ見ても見ていて気持ちがいい。
小澤征悦、吉岡秀隆、田畑智子、そして前作から続投の吹越満 も適材適所で実にいい仕事をしている。緒方拳も楽しそう。

気に入りの一本です。


青春よさらば [映画関連]

今回、レヴューでなくてすみません。

今日、VHSのビデオテープを処分しました。内容はもちろん映画です。テレビから録画したものと、市販品、レンタル落ちを安く買ったもの...その数なんと段ボール15箱。

時代はDVDになり、我が家のビデオデッキも壊れ、テープを処分しようと決めてから、実はもう3年くらいたっています。それは私がずぼらだからですが、同時に、やはりただ捨てるのが忍びなくて。しかしきちんとケースに入った美品などほとんどなく、大半がレンタル落ちの品ですから、引き取り手もありません。そもそもVHSソフトを買おうという人自体が希少ですし。寄付をすることも考えたのですが、やはりVHSのニーズはなかなかなく。マニアが喜びそうな、DVD化されていないタイトルも沢山ありそうですが、調べてネットオークションに出すまでの時間もなく。
結局捨てるしかないのだと決心するまでに3年くらいかかっちゃったわけです。

捨てようと思えたのは、自分の映画観賞スタイルが変わったことが大きいです。スカパーやwowowを利用し、自分自身が映画を見る時間をなかなかとれなくなって、映画を観るよりも観たい映画が供給されるペースの方が早くなってしまったのです。旧作を観かえす時間があれば新しい映画を観たいわけです。だから今はDVDもほとんど買わないし、録画したものもたいてい、観たら消すようになりました。昔と違って今は映画ソフトが手に入りやすいですから、「あれ観たい!」と思ったらその時探すことにしました。

もちろんどうしても見つからないこともあるでしょう。なのでVHSテープの中から気に入りの作品だけはDVDにコピーして保存することも考えました。しかしいざそう思って整理してみたらこれがまたきりがなくて。

結局、子供が実家で観るためのアニメ数本と、私の大学の入学式のビデオと(なぜかビデオ撮影してテープを配る大学でした)、結婚式のビデオを残してすべて業者さんに引き取ってもらいました。
段ボールの山を見た業者さん、
「ビデオ製作会社でもやってたんですか」
だって。

ビデオテープ、懐かしいものばかりでした。
子供の頃、NHKやフジテレビの深夜枠で放送された字幕の映画を録画したもの。それがその後「衛星映画劇場」になり、「wowow」になり。ラベルもきちんと丁寧に書いていました。
連れ合いとまだ結婚する前、彼の家のそばにあるレンタルビデオ店の前を通るたびにレンタル落ちをチェックして掘り出し物を手に入れたもの。いつもたいてい一本200円くらいなのだけれど、たまに100円で買えると嬉しかった。結婚直後にも家の近所の中古店で大量買いしたりして。
まだ生活に追われていない若かりし頃の思い出に直結していて、こそばゆくなります。

そうして少しずつ少しずつ集めていくうちに、シリーズものも大体全部そろって、メジャータイトルはかなり網羅していましたよ。

買ったビデオはいつも即日観ていましたから、それだけの作品、全部観たんだなあと思うと我ながらあきれる本数です。
捨てるのはビデオテープ、ただの媒体です。そうは思っても、いざ目の前で大量のタイトルがトラックに積まれていく様子を観るのはちょっとせつないものがありました。

長年の間楽しませてくれてありがとう。処分には結構な費用がかかりましたが、なんとなく、手軽に捨てたよりは、大変な思いをして捨てた方が踏ん切りがついた気がします。




そして我が家にはまだレーザーディスクが15枚ほどあるのでした。これはハードが壊れてないので捨てません.....。「ソイレントグリーン」とかあるし。いずれ処分するでしょうが、ハードが壊れるまでは保留です。

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